Take Me Out 2018 口は災いの元

例によって軽く迷子になりながら青山へ行ってきました。
舞台 Take Me Out 2018 の備忘録です。

 

会場
ロッカールームってそういう事か。上手とか下手とかじゃない。
対面する客席に挟まれる舞台。
なんだか檻のよう。


(席の近くで、スタッフ風のいでたち?でモジャ毛のお兄さんがウロウロしてたんですが、
後に演出の藤田さんだと判明しました。)

 

オープニング
メイソン(玉置さん)がはけるとき、優しい笑顔でダレン(章平くん)を見てた。

 


メジャーリーグの強豪、エンパイアーズのロッカールームにて
実際に着替えながら談笑する選手たち。

談笑と言っても、楽しげに喋っているのはダレンとキッピー(ミカティさん)だけ。
この二人の会話と、それに絡んでくるメンバーの言動で、
それぞれ登場人物がちょっとずつ分かってくる。

 

ダレン(章平くん)
でかい。
チームのスラッガーにして、メジャーリーグのスーパースター。
かなりの自信家で、最もリアルな『プロスポーツ選手』らしい性格。
ゲイであることを堂々と発表した。(←物語の大前提)
主人公『格』。
テニミュDVDでしか観たことの無かった章平くん。なんかエロかっこいいぞ。オトナだ。


キッピー・サンダーストーム(味方さん)
ダレンと仲良く喋る知的な白人。
北欧出身で、恵まれた家庭環境で育ち、ホモセクシャルには理解を示す。
(実際にどう思ってるかは分からないけど・・・)


カワバタさん(竪山隼太さん)
全然喋らない。
自分のロッカーを神棚に見立て、拍手(かしわで)を打つ日本人。
イメージは野茂英雄さん。
激かわいい。


トッディ(浜中文一さん)
ホモやめてくれよキショイわ。
・・・というか、ホモなのはしょうがないとして
公表すんじゃねえよ迷惑なんだよ、という感じ。
かわいい。


ジェイソン(小柳心さん)
でかい。
運良く昇格してきたメガネのキャッチャー。
東北訛りのオドオドボーイ。
スター選手・ダレンに恐縮しながらもホモセクシャルに理解を示す。
パンフのインタビューがやばい。
いとしい。


ロドリゲス&ドミンゲス(陣内さん&吉田さん)
ドミニカ出身組。
陣内さん、家に帰ってからパンフ見たらイケメンすぎて驚きました。
彼が噂のイケメンすぎるアヒルだったのですね。

 


~回想・酒場のシーン~
デイビー登場。

デイビー(Spiさん)
でかい。
他チームに所属するスラッガーで、ダレンの親友にしてライバル。
ちょっと古風なジェントルマン。
3児のパパ。
体が良すぎて、デイビーが喋ってる間、ずっとお尻ばっかり見てしまいました。
いや、だってSpiさんのお尻だよ、見るでしょ。

 

デイビーがダレンに語る。
長い付き合いだが、お前はずっと何か隠してる。
俺にも言えないことなのか。
本当のお前はどこにあるんだ。
そろそろ、本当の自分を出してもいいんじゃないか。


みたいな感じの、
デイビーは至極まっとうで、よくできた人間で、ダレンのことを理解してくれる
唯一無二の親友らしいことを語ります。


この時点で私はデイビー推しです。

 


・・・で、ダレンは『信頼する親友・デイビーの言葉に背中を押されて』
自分がゲイであることを公表したわけだ。

 


ゴタつくエンパイアーズ。
試合終盤、制球が乱れるエース・カワバタ。
チームのピンチを救うため、新たなピッチャーが加わる。

シェーン(栗原類くん)
ほそい。
無口で奇妙な奴だが、ピッチングの腕は一級。
抑えとしてチームに貢献。

 

ダレンとキッピーが、『良かれと思って』『チームメイトなんだから』と、孤立しがちなシェーンに声をかける。

シェーンはアメリカのド田舎出身で、
幼い頃に両親が亡くなり、孤児院で育ったため学がない。
ゆえに、『自分はどういう人間か』
『なにを考えているか』をうまく話せない。けど、
彼には野球がある。

シェーンの奇妙な奴っぷりが際立ち、ますます孤立していく。

この回りに理解されない、危うい天才な感じ、好き。

 

 

しかし、なんやかんやでシェーンの活躍もあり、
エンパイアーズは連戦連勝。
うまく行っている、はずの所に、シェーンが爆弾を落とす。

試合後インタビューにて
『試合の後シャワー浴びるじゃん? ホモ野郎と一緒なんて気持ち悪いんだよ』

 


ふたたびゴタつくエンパイアーズ。

荒れるダレン。


シェーンは『暴言』の責任を取り、謹慎処分になるが、
『誤字脱字だらけの手紙』が公開され、シェーンには世間から同情が集まる。
(・・・キッピーが代筆しているよう。)
(誤字脱字だらけなのに?)


シェーンの復帰に反対するダレン。
監督渋い。激シブだぜ。

 

 


そうそう、大事な会計士を忘れていました。

メイソン(玉置玲央さん) (たまおき・れお/柿喰う客)←覚えた!
主役だけど、あえて主役感を出さない男。
ダレンがゲイ告白した後に担当になった、真面目一辺倒な会計士。
ダレンに出会い、野球そのものにも興味を持つ。
『最近、野球、勉強してるんです!』と言うが、ファースト、セカンドサードを『左回り』で語る辺り、ちょっと信用ならない。
天然か。
会計士らしく、「野球にまつわる数字の雑学」みたいなのが好きなようです。
ただ、裏は無さそう。

(ラストシーンでキッピーに出会いますが、ダレンのこと好きで野球のこと勉強してる割に
チームメイト、しかも目立つショートポジションのキッピーのこと分からないって?)
(ダレンのことしか見てない、とでも?)

 

 

シェーンが戻り、
デイビーのチームとの対戦。

デイビーは帰らぬ人となった。

 

~回想・試合前、ロッカールームにて~

デイビーとダレンの決別。
デイビーはあくまでキリスト教にのっとり、ダレンの今までの言動を徹底的に批判。
そこまで言わなくても、ってくらい批判。

ダレンはデイビーが好きだった。
そこには人としての尊敬もたくさん含まれていたと思う。

でも、デイビーは『キリスト教徒としてあるべき姿』を一番大事にしているから、
ダレンの告白は到底受け入れられるものじゃない。

結果二人の道は別れ、ダレンはデイビーに『死ね』と言って吐き捨てた。

それは決して本心ではなかったはず。

 


~回想・その直後、シャワールームにて~

シェーンは、ダレンのデイビーの口論を聞いてしまった。

そして、ダレンはよりによってシェーンに『いらんこと』をする。
人生の教訓かもしれない。人間いらんことすると絶対悪い方向に行く。

 


そしてデイビーに悲劇が起きた。

 


シェーンは留置場へ。

話し相手に指名されたキッピーと、お呼びじゃないダレンがシェーンのもとへ。

回想によって、全部ダレンが原因だったことが分かる。

そして、『あの手紙』をキッピーが勝手に書いたってことも。

 

この『部屋』の中でキッピーはマジで嫌な奴で、
シェーンに『話してくれ』って言ったのに、それが<自分の求める答え>じゃないと判断するや否や
『黙れ』って言うんですよ。
シェーンの話を遮るの本当にクソ。このお喋りクソ野郎め。


熱海殺人事件で味方さん演じる木村部長刑事は、
あの世界において『全知全能の神』だった分、余計にキッピーはクソな奴に感じる。

キッピーはショートというポジションゆえか、チームのため、自己犠牲の精神と
『間を取り持つ』『チームをうまく回す』『潤滑油となる』を目指し行動していたはずなんですが。
うまく立ち回ってるはずだった。

誰の敵でもないよ、僕は皆の味方だよ、と周囲をコントロールしようとするキッピーを、
その名も『味方』さんが演じるの、意図せず意味が深まってイイよね。こういうの好き。

 


シェーンのこと

私、シェーンが好きなんですよ。
自分のことうまく話せないのも分かるし、説明とか苦手なのも分かる。

決して恵まれた生い立ちではないけど、
たった一つ野球という才能があるのもかっこいい。

栗原類くんのアンニュイな雰囲気も好きだし、顔がきれい。
彼のこと応援したくなる。現実にいたらシェーン選手のレプリカユニ買ってるかもしれない。

過去のことは関係ない、周りの状況も関係ない。

ただ投げたい、大好きな野球がしたい、という純粋なたった一つの願いはかなうことなく、彼は表舞台から姿を消しました。

 

 

 

 

Take Me Out 2018 すごく良い舞台でした。
ロッカーが動く面白さ、俳優さんの熱、構成のうまさ、どれも楽しかった。

ただ、終盤は私の苦手な展開だったなあ、という感想です。

早い段階でデイビーとシェーンが好きになって、その二人が『ダレンから見た悪役として』退場してしまった、っていうのもあるのですが
(悪役という言い方もちょっと違うんだけど)

パンフレットを読むと、
作者=主人公=メイソン(善良な人物で、ユダヤ系だから差別されて、ゲイ)という『前提』が見えてきます。

 

メイソンとダレンの愛を主人公とした物語であるなら、
ホモセクシャル絶対反対派のデイビーとシェーンは敵役。

この、「主人公(メインテーマ)にそぐわない奴は不幸になる」話、ちょっとダメで。

メイソンとダレンを好きになって、素直に応援できてたら、また違った感覚になるんだろうなあ。
ハッピーエンドに感じただろうか?

 


結果的に、ダレンは『メイソンとの愛の前に障害となる』デイビーとシェーンをまとめて葬ってしまった。

 

ラスト、メイソンはそのことを知る由もないでしょうが、
たしかに『悲劇だった』。

その後のメイソンの沈黙は・・・追悼でもあり、これからの人生への悲観かもな、と思いました。
ダレンと想いが通じ合って、『今は』幸せ。
けど、これから二人で歩むであろう未来へのプレッシャー、みたいなものに押し潰されそうなイメージでした。

 

キッピーのセリフにもあった、
俺たちは楽園を失った という言葉。
楽園だなんて思ってたのはキッピーだけで、
ダレンにとっては檻だったのかもしれません。

檻の外に出ようとして、外の世界へ連れ出してくれたのは、メイソンの存在だった。
なんて、ちょっと陳腐ですかね。

 

 

あ、カワバタさん好きです。
ドミニカ組にいじめられてるシーン、ジョジョだったの。

 

熱海殺人事件でチラシを貰い、味方さんの次回作か~知ってる俳優さん7代目タカさんだけだな~どうしよっかな~みたいな感じで来たTMO、大当たりでした。

・・・連れが『興味ある』と言って私の背中を押してくれて、(ハイキュー!と迷った)
帰りは『面白かった』と言ってくれたので、私のTMOは天に昇りました。よかった。

 

ありがとうございました。